神奈川の印鑑屋

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「日本人の脳は外国人の脳とは違う(虫の音を日本人は左脳で,西洋人は右脳で処理する、といったもの)」という主張もありました。著者もその研究について調べていますが、学術論文が存在しない・それを主張する角田が「日本人」も「違い」も定義していない、さらには自身で角田の主張を厳密に追試した結果などから、「角田理論」を否定しています。しかしマスコミは「角田理論」に飛びついて大騒ぎし、それを否定する論文の存在は無視しました。1990年に立花隆がこの話を蒸し返し、「科学朝日」上で議論が行われました。

しかし、批判に対する角田の反論が要するに「自分の主張に合うように母集団の条件を揃えたら、自分の主張通りの結果が出る」であるのには、私は唖然とします。だってそれは「科学」ではありませんから。集団を相手に実験をする場合の「母集団」でとても重要なのは実験者の恣意や主観が入らないように「ランダマイズ化」されていることです。それを無視した「科学的主張」はエセ科学の範疇なのです。

ベストセラーになった『右脳革命』も訳書と原書に当たって著者は検討していますが、「創造性」を強調している割に「創造性とは何か」の詳しい記述がなく、飛躍や誇張が目立つそうです。それでも論文を数百丁寧に読み込んで「左右の脳のバランスが大事」という結論を得ています。ところで原書では「右脳を鍛えたら創造性が高まる」という記述はないそうです。それは翻訳書の“オリジナル”。しかし「神話」は確立し、ひとり歩きすることになりました。たぶん今でもこの神話